《坐俎上(そじょうにざす)》は、子龍が1950年代初頭から60年代末にかけて繰り返し制作した、代表的な題材のひとつです。今回の展示作品は1959年に制作されました。
「坐俎上」とは、文字通り「俎(まな板)の上に座す」を意味し、まな板の上に置かれた鯉が、もはや逃げることのできない状況を受け入れ、覚悟を決める姿を表します。
子龍が初めて《坐俎上》を書いた1950年代初頭、子龍は『墨美』を創刊し、従来の書の価値観を問い直す活動を進めていました。しかし、その姿勢は既成の書壇から激しい批判や反発を受けます。
個人で発行していた『墨美』も決して安定したものではなく、周囲からの非難によって読者や支持者を失えば、活動そのものが立ち行かなくなるような状況でした。
それでも子龍は、自らが信じる方向を曲げようとはしませんでした。
「今の自分は、まさに俎上の鯉だ。攻撃するならするがいい。自分は微動もしない。」
そう腹を決めた子龍が、自らの覚悟を託した言葉が《坐俎上》でした。 この言語の音声はまだありません
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作品《坐俎上》 | 森田子龍