『書の美』は、子龍の戦後の活動の出発点となり、のちの「墨人会」へとつながる重要な書の専門誌です。
1948年、故郷・豊岡で創刊された『書の美』は、当初、恩師である上田桑鳩を中心とする一門の機関誌でした。しかし子龍は、次第に書をより自由な視点から捉えようとするようになります。
戦後の混沌のなか、伝統的な書法や、因習的な師弟関係の権威に従うことに限界を感じた子龍は、1950年、『書の美』の誌上に「α(アルファ)部」を新設します。従来の「書」の枠をいったん離れ、文字の意味や可読性にとらわれず、点や線、余白といった純粋な造形を通して、自己の生命をいかに表現するかを探究する場でした。画家・長谷川三郎も選評に加わり、この試みは翌年創刊された『墨美』へと引き継がれていきます。
『書の美』はまた、書と海外の現代美術とをつなぐ窓口にもなりました。長谷川三郎を通じてイサム・ノグチやフランツ・クラインらとの交流が生まれ、書と抽象絵画が互いを見つめる、新しい対話が始まります。
そして1952年、終刊号には、森田子龍、井上有一、江口草玄、関谷義道、中村木子の5人が師・上田桑鳩に宛てた決別の言葉が掲載されました。彼らは、既存の書壇の枠を離れ、真に自由な芸術家として新しい書を追求することを決意し、この年、「墨人会」を結成します。 この言語の音声はまだありません
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書の美 | 森田子龍